甲状腺異常が見つかった方へ、症状や原因、検査などを簡潔に解説

甲状腺異常が見つかった場合の原因について、医師が詳しく解説したイラストです。

甲状腺は、私たちの代謝などに関係する甲状腺ホルモンを分泌しており、その異常は全身症状にあらわれます。

女性を中心に甲状腺機能異常は少なくない病気で、うつ症状で心療内科にご相談された際に、採血して甲状腺機能低下が見つかることなどもあります。また人間ドックなどでは、よくオプション項目のひとつとなっています。

ここでは、甲状腺異常が見つかった方に対して、甲状腺の病気や症状、原因や検査について、要点を簡潔にお伝えしていきます。

甲状腺ホルモンの病気ってどのようなものがあるの?

甲状腺ホルモンの病気ってどのようなものがあるの?

甲状腺は重さ10-20g程度の首の前面、喉仏のあたりにある蝶が羽を広げた形をした臓器です。甲状腺からは『甲状腺ホルモン』が生成され、このホルモンは血液から全身の臓器に運ばれ、代謝の活性化や成長の促進など、様々な働きをします。

脳の下垂体という臓器から分泌される、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の働きで、甲状腺ホルモンは基本的には体の中で多すぎず、少なすぎない、適切な値にコントロールされています。

甲状腺ホルモンが多すぎても、少なすぎても、全身にさまざまな症状が現れます。

甲状腺ホルモンが多すぎるとどのような症状が起こりますか?

甲状腺ホルモンが過剰になると、新陳代謝が高まりすぎた状態となります。

  • 動機や息切れ
  • 疲労感
  • 暑がり
  • 食事をとっていても体重減少
  • 多汗
  • 手足のふるえ
  • 下痢

などの症状が出ます。また甲状腺ホルモンが多すぎる状態が続くと、心臓に負担がかかり心不全となる場合や、骨粗鬆症の原因となることもあります。

甲状腺ホルモンが多くなる病気にはどのようなものがありますか?

甲状腺ホルモンが多くなる代表的な疾患がバセドウ病です。

その他無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎、プランマー病などの疾患でも甲状腺ホルモンの過剰が起こります。

血液検査で甲状腺ホルモンの過剰がわかったら、抗体検査や画像検査などで、甲状腺ホルモン過剰の原因を鑑別していく必要があります。

甲状腺ホルモンが少ないとどのような症状が起こるの?

甲状腺ホルモンが必要よりも少ない状態となると、代謝が落ちた状態となります。

  • 無気力
  • 疲労感
  • 寒がり
  • 体重増加
  • むくみ
  • 記憶力低下
  • 便秘

筋力低下、過多月経、脱毛、徐脈などの症状が出る場合もあると言われています。

うつ症状のようにみえることもあり、心療内科や精神科でも見極めるために、甲状腺機能低下は採血で確認することがあります。

甲状腺機能低下症の原因は?

甲状腺機能低下症の最も多い原因は、慢性甲状腺炎(橋本病)です。

また、昆布やイソジンうがいなどのヨウ素の過剰摂取

その他まれですが、下垂体の病気が原因で甲状腺機能低下となる場合もあります。

甲状腺ホルモンの異常を疑ったらどのような検査をするの?

甲状腺ホルモンの異常を疑ったら、まずは血液検査を行い、甲状腺ホルモンの値や抗甲状腺抗体の値を確認します。

また、その他必要に応じて甲状腺エコー検査やその他の画像検査をおこなっていきます。

上野御徒町こころみクリニックの代謝・内分泌専門外来のご案内

私たち上野御徒町こころみクリニックの代謝・内分泌専門外来は、以下の3つの特徴があります。

  • 大学病院勤務の専門医による診療
  • 夜9時まで診療
  • 上野駅2分・御徒町駅4分

代謝・内分泌疾患は専門性が高く、必要に応じて入院での精密検査が必要になることがあります。

当院では日本医大医局員が診療を担当しているため、スムーズに連携して診療を行うことができます。

上野のマルイの裏にクリニックはあり、夜9時まで診療していますので、気軽にお声かけください。

代謝・内分泌専門外来

受診の流れとご予約方法

著者

羽田先生

日本医科大学糖尿病・代謝内分泌内科医局員

【お読みいただいた方へ】
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「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
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カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年8月26日

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