「貧血」「赤血球が少ない」といわれた方へ

貧血の症状

貧血の症状をイラストで紹介します。
 

貧血は、酸素を運ぶ役割をする赤血球のヘモグロビンが少なくなっている状態のことです。

細胞の酸素が足りなくなりエネルギーが少なくなると、

  • 疲れやすさ
  • めまい・立ちくらみ
  • 頭痛
  • 目覚めが悪い
  • 集中できない

などの症状が出ます。

また、貧血による酸素不足を解消するために、心臓が頑張って負荷がかかります。心臓の鼓動を早くしてたくさんの血液を流したり、血中の酸素を増やすために呼吸が荒くなったりします。

そのほかにも、

  • 抜け毛
  • 吐き気・食欲不振
  • 爪がスプーンのように反り返る・もろくなる
  • 味覚がおかしくなる
  • 口角炎や舌炎

などの症状が出ることがあります。

なかには全く症状が無く、顔色が悪いと言われて気がつくことや健康診断で指摘されて初めて知ることもあります。

貧血はさまざまな病気が原因でおこるので、指摘があれば早めに医療機関に受診して検査をすることで、血液以外の他の病気の早期発見にもつながります。

そのためにも貧血の症状が現れたり、健康診断で赤血球が少ないことを指摘されたりしたら早めに受診することが大切です。

「貧血」について詳しく知りたい方へ

貧血の種類とは?

赤血球の寿命はおよそ120日で、失われた分を補うために体の中で常時つくられています。しかし、出血などで赤血球が失われることや、体の中で正常の赤血球がつくられなくなることで貧血が起こります。

貧血はその原因によって次のような種類があり、治療もその原因に応じて異なります。

ここでは、以下の貧血についてご紹介します。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血の特徴をイラストでまとめます。

若い女性の貧血のほとんどが鉄欠乏性貧血です。

鉄は、赤血球の中にあって酸素を運ぶ「ヘモグロビン」(血色素とも呼ばれ、赤い色をしています)というタンパク質の重要な成分で、酸素と結合して酸素を体のすみずみまで運ぶ役割をします。

鉄が足りなくなると、ヘモグロビンの量が減って赤血球は小さくなり、数も減って貧血になります。

鉄欠乏性貧血は女性に多く、生理過多による出血で体の鉄の貯蔵量が少なくなることが原因で、最も多いものです。また、思春期の女性は成長により赤血球をたくさん作るため、妊娠や授乳中の女性は赤ちゃんに優先的に鉄を与えるために、鉄欠乏になりやすくなります。

これに対して、男性や高齢者では消化管出血が原因となることが多く、特にミドル・シニア世代以上では、胃かいようやガンによる慢性的な出血で起こることが多いです。

また、消化管以外のがんが原因となることや、高齢者では栄養障害による鉄欠乏が原因となることもあります。

この他にも、胃炎、胃切除や胃酸を抑える薬を飲んでいる場合に、胃酸分泌低下によって鉄の吸収が少なくなって発症することもあります。

また、若い人で過度のダイエットによる鉄不足が原因となることもあります。

診断と治療

血液検査で診断できます。鉄欠乏性貧血とわかったら、その原因を調べます。

症状が出るぐらいの貧血は鉄分の多い食事を摂るだけで治療することは困難で、欠乏している鉄を鉄剤で補充することが基本となります。

鉄剤の投与で貧血は改善しますが、体の中の鉄の貯蔵(フェリチン)が十分になるまで検査で確認をしながら、治療を続ける必要があります。

ケースによって異なりますが、大体半年からそれ以上の治療が必要になります。

また、明らかな出血(消化管出血や生理過多など)によって鉄の貯蔵量が少なくなっている場合は、その原因を取り除く治療も行う必要があります。

鉄分が不足しないように食事に気をつけることも重要です。鉄はレバ-や赤身の肉類、魚介類、大豆製品、緑黄色野菜、海藻などに多く含まれていて、1日の吸収量が決まっています。ですからこまめにお肉を食べて、バランスの良い食事を規則正しくとることが大切です。

「鉄欠乏性貧血」について詳しく知りたい方へ

巨赤芽球性貧血

ビタミンB12や葉酸が欠乏することで、正常な赤血球が出来にくくなることで起こります。

赤血球が少ないことに加えて、血液内に未熟な大きな赤血球が出て来ることを特徴とします。

ビタミンB12欠乏を起こす重要な病気として悪性貧血があり、これは自己免疫性の萎縮性胃炎によって起こるもので、巨赤芽球性貧血の60%がこれにあたります。

ビタミンB12の食事による摂取不足は稀で、胃切除<>によって胃からの吸収が少なくなって起こることが原因のほとんどです。

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葉酸欠乏のほとんどの原因は摂取不足で、過度のダイエットやアルコール依存症の人で見られます。

症状は他の貧血と同じですが、ビタミンB12欠乏では手足のしびれ、感覚が鈍くなるなどの神経症状が出ることがあります。重症になると手足の筋力低下や脱力、歩行困難などの症状が現れます。

診断と治療

血液検査で診断できます。

治療はビタミンB12欠乏では、ほとんどが消化管からの吸収が十分に出来ないことで起こるため、ビタミンB12の注射による治療が行われます。

貧血が正常化するまで1〜2ヶ月の治療が必要で、その後も3ヶ月に1度ぐらいの維持療法が続きます。葉酸欠乏は飲み薬で治療します。

「巨赤芽球性貧血」について詳しく知りたい方へ

溶血性貧血

溶血性貧血は、赤血球がこわれること(溶血)によって起こる貧血です。

あまり多くはないですが、日本では年間1,000例ぐらい新たに発症する患者さんがいます。

貧血の症状に加えて、溶血が多いと血色素(ヘモグロビン)が尿中に出てきて、尿が茶褐色(コーラ様)になることがあります。

また、ヘモグロビンが分解して出来た黄色い色素のビリルビンが血中に多くなることで、皮膚や白目が黄色くなる黄疸の症状が出たり、ビリルビンが結晶化して胆石症を引き起こしたりすることがあります。

この代表的な病気は、自己免疫性溶血性貧血と発作性夜間ヘモグロビン尿症があります。

自己免疫性溶血性貧血は、免疫システムが誤って自分自身の身体を攻撃するようになったことで起こる自己免疫疾患の一種で、自分の赤血球を攻撃する抗体ができることで起こる病気です。

発作性夜間ヘモグロビン尿症は、壊されやすい赤血球が体の中で異常に作られるようになって起こる病気で、寝ている間に赤血球が壊れて早朝に茶褐色の尿が出ることがあります。

また、貧血に加えて白血球や血小板減少を伴うことがあり、感染による発熱や皮膚の点状出血や出血が止まりにくくなったりする症状が出ることがあります。

日本人では少ないですが、血栓症を起こしやすくなる患者さんもいるので注意が必要です。

この他には、遺伝性に起こる溶血性貧血や、感染症や薬剤性に起こる溶血性貧血があります。

診断と治療

血液や尿検査により溶血性貧血の診断をし、その後詳しい血液検査でその原因を調べます。遺伝性のものは遺伝子検査を行うこともあります。

自己免疫性溶血性貧血はステロイド剤による治療が行われますが、効果が少ない時は免疫抑制剤の使用や脾臓摘出が行われることがあります。

自己免疫性溶血性貧血の中には、寒冷凝集素と呼ばれる体温が低いと強く働くようになる抗体によるものがあり、このタイプではステロイド剤があまり効かないので、体温が下がらないようにすることで発症を抑えます。

発作性夜間ヘモグロビン尿症には、ステロイド療法や難治例では抗体薬による治療が行われることもあります。

遺伝性の溶血性貧血は無症状のことが多いですが、症状が重い時は脾臓摘出が必要になることがあります。

「溶血性貧血」について詳しく知りたい方へ

二次性貧血

血液以外の基礎疾患があるために起こった貧血です。

慢性の感染症、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病やがんなどに伴って起こる貧血、腎臓や肝臓などの疾患に関連して起こる貧血、薬の服用によっておこる薬剤性貧血(溶血系貧血以外にも様々なタイプの貧血があります)などがあります。

診断と治療

背景となる基礎疾患の診断が重要で、治療は基礎疾患の治療が原則となりますが、症状によっては輸血が必要になることがあります。

薬剤性が疑われる場合には、可能性のある薬を見つけて服用を中止します。

慢性腎不全では、腎臓でつくられるエリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンが低下して貧血が起こります。この場合はエリスロポエチンなどの赤血球造血刺激因子製剤で治療します。

再生不良性貧血

赤血球・白血球や、出血の時に血を止める働きをする血小板が減少する病気です。

貧血に加えて細菌感染から体を守る白血球の減少で感染が起きやすくなり、発熱や咳などの症状が出る、血小板の減少により皮膚に点状出血(赤や紫の点が出来る)や紫色の斑点(紫斑)や大きなあざ(斑状出血)が見られるなどの症状が出ます。

比較的稀な病気(年間、100万人に8人ぐらい発症します)で、10~20歳代と70~80歳代に発症のピークがあります。

原因は遺伝性や薬剤性のものもわずかにありますが、ほとんどの患者さんの原因は不明で、骨髄にある血液細胞のもととなる造血幹細胞が少なくなることでおこります。

治療は、症状が進めば輸血、免疫抑制剤やタンパク同化ホルモンなどが用いられますが、重症の例では骨髄移植などの造血幹細胞移植が行われます。

「再生不良性貧血」について詳しく知りたい方へ

骨髄異形成症候群

症状は再生不良性貧血と同じで、貧血に加えて白血球減少による発熱などの症状、血小板減少による皮膚の出血斑などの症状が出ます。

高齢者に多く見られる病気ですが、稀に若い人に起こる例もあります。

全体の10〜20%が白血病に移行することがありますが、この病気はいくつかに分類されていて、白血病へ移行するリスクの高いタイプと低いタイプが知られています。

低いタイプでは輸血などの支持療法や免疫抑制剤などの薬物療法が行われますが、リスクの高いタイプでは抗がん剤治療や造血幹細胞移植などが行われることもあります。

「骨髄異形成症候群(MDS)」について詳しく知りたい方へ

さらに詳しく知りたい方へ

貧血について、概要をお伝えさせていただきました。さらに詳しく知りたい方は、以下のページをお読みください。

「貧血」について詳しく知りたい方へ

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私たち上野御徒町こころみクリニックの血液内科専門外来は、以下の3つの特徴があります。

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  • 夜9時まで診療
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血液専門医は全国でも少なく、また内科でも特殊な分野なので、総合病院や大学病院に通院せざるを得ない患者さんも多いです。

私たちは血液疾患の患者さんの治療と社会生活の両立をミッションに、大学病院医師が夜間まで、アクセス良好な駅近で診療を行っています。

健康診断で赤血球の異常が指摘されたり、貧血の症状が気になる場合は、ぜひ血液専門医にご相談ください。

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