レブラミド(レナリドミド)の効果と副作用
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レブラミド(一般名:レナリドミド)は、免疫調節薬(Immunomodulatory Drugs:MiDs)に分類され、特定の血液腫瘍の治療薬として用いられます。
一方で、サリドマイド類似薬でもあるため、催奇形性には注意が必要です。
胎児の薬剤曝露を防ぐため、レブラミド内服中は「RevMate」での管理を行う必要があります。
この記事では、レブラミドの効果や副作用、注意点をお伝えします。
レブラミドとは?
レブラミド(一般名:レナリドミド)は、免疫調節薬(Immunomodulatory Drugs:MiDs)に分類される、特定の血液腫瘍の治療薬です。
多発性骨髄腫などに用いられ、悪性化した血液細胞の増殖を抑える方向に作用を発揮します。
一方で、レブラミドはサリドマイド類似薬にも分類されます。
サリドマイドは、1960年頃に妊婦でも使える睡眠薬として販売されていました。
しかし、実際にはサリドマイドを内服した妊婦から先天性障害をもつ子供が生まれ、催奇形性が発覚しました。
現在では、サリドマイド類似薬にあたるレブラミド・ポマリストを内服する際に胎児の薬剤曝露を避けるため、「RevMate」の使用が定められています。
「RevMate」は、レブラミドを受け取る際に、適正使用できているかを確認するための手順です。
「RevMate」に関しては、医者や薬剤師から詳しい説明があるかと思いますので、それに従い確認をしてください。
レブラミドの適応
レブラミド(一般名:レナリドミド)の適応として、以下が認められています。
- 多発性骨髄腫
- 5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群
- 再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫
- 再発又は難治性の濾胞性リンパ腫
- 再発又は難治性の辺縁帯リンパ腫
多発性骨髄腫(Multiple Myeloma:MM)
多発性骨髄腫は、血液細胞のうち、免疫力に関わる形質細胞が悪性化する疾患です。
正常な形質細胞からは抗体(免疫グロブリン)が形成されますが、骨髄腫細胞(悪性の形質細胞)からはM蛋白と呼ばれる異常免疫グロブリンが生成されます。
M蛋白は、抗体とは違い、外部からの細菌などへの攻撃が十分にできません。
M蛋白の生成は、感染への免疫力低下などを引き起こしてしまいます。
レブラミドは骨髄腫細胞の増殖を抑える働きを持つため、多発性骨髄腫の治療薬として用いられます。
骨髄異形成症候群
骨髄異形成症候群は、造血幹細胞の異常により白血球・赤血球・血小板などの血液細胞が正常に作られなくなる疾患です。
症状は、どの血液細胞に異常が見られるかで異なりますが、白血球の異常であれば感染症、赤血球であれば貧血、血小板であれば出血・あざなどが起こり得ます。
骨髄異形成症候群の中でも特徴的な染色体異常である「5番染色体長腕部欠失」がある場合に限り、レブラミドが治療に使われます。
成人T細胞白血病リンパ腫
成人T細胞白血病リンパ腫は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)に感染することで発症する疾患です。
HTLV-1が、白血球のうちのひとつであるT細胞に感染し、ATL細胞と呼ばれる腫瘍細胞が増殖することで、リンパ節の腫れなどの症状が現れます。
レブラミドは成人T細胞白血病リンパ腫の原因になるATL細胞の増殖を防ぐ方向に働くため、治療薬として使われます。
濾胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫
濾胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫はそれぞれ悪性リンパ腫に該当する疾患で、白血球のうちのBリンパ球が悪性化することで発症します。
レブラミドは、悪性のリンパ球の増殖を抑える方向に働くため、濾胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫に使われます。
レブラミドの効果
レブラミドの効果について、それぞれの疾患に効果を発揮するまでの詳細な作用は分かっていません。
現時点で、レブラミドには以下の作用を持つと考えられています。
- サイトカイン産生調節作用
腫瘍細胞へ攻撃する細胞の働きを手助けします。 - 造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用
レブラミドは、骨髄腫細胞などの腫瘍細胞の増殖抑制が認められています。 - 血管新生阻害作用
腫瘍細胞に栄養を与える新たな血管の生成を阻害します。
レブラミドの用法
レブラミド(一般名:レナリドミド)の用法は、以下の通りです。
【多発性骨髄腫】
レナリドミド25mgを1日1回・21日間連日経口投与した後、7日間休薬
これを1サイクルとして投与を繰り返す
※デキサメタゾンを併用して内服
【5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群】
レナリドミド10mgを1日1回・21日間連日経口投与した後、7日間休薬
これを1サイクルとして投与を繰り返す
【再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫】
レナリドミド25mgを1日1回・連日経口投与
【再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫】
レナリドミド20mgを1日1回・21日間連日経口投与した後、7日間休薬
これを1サイクルとして最大12サイクルまで投与を繰り返す
※リツキシマブ(注射薬)を併用して内服
レブラミドは、疾患や注射薬の組み合わせなどで用法用量が変わる薬です。
上記にあげた以外のパターンで内服する可能性もありますので、その時の医師や薬剤師の説明をしっかりと聞きましょう。
特に、服用期間・休薬期間について間違いなく内服できるようにする必要があります。
注射薬との組み合わせでは、連続投与期間が14日になる場合もあります。
誤って指定の期間を超えて内服してしまうと、重大な副作用にもつながりかねませんので、細心の注意が必要です。
レブラミドの副作用
レブラミドの内服で特に注意すべき副作用として、骨髄抑制・血栓症があげられます。
骨髄抑制は、血液細胞を作り出す場所である骨髄の働きが抑えられている状態です。
骨髄では赤血球・白血球・血小板などの血球細胞が作られていますが、骨髄抑制になると血球細胞の数が減ってしまいます。
血球細胞が減ることにより、貧血や感染症、出血などの症状が起こりやすくなります。
血栓症は、血の塊ができ血液の流れを滞らせてしまう状態です。
足に血栓ができると、急な足の痛み・しびれ・むくみなどが起こり「深部静脈血栓症」と呼ばれる状態になります。
肺に血栓ができてしまった場合は「肺塞栓症」となり、息苦しさなどの症状が起こります。
これらの症状は重大な副作用につながる可能性がありますので、次の診察日を待たず、早めに病院へ相談をしましょう。
主な副作用と頻度
レブラミドの副作用頻度は以下の通りです。
- 好中球減少症:31.8%(169/532例)
- 貧血:23.5%(125/532例)
- 血小板減少症:16.2%(86/532例)
- 便秘:22.4%(119/532例)
- 下痢:21.1%(112/532例)
- 悪心:9.2%(49/532例)
- 疲労:20.1%(107/532例)
- 発疹:13.7%(73/532例)
- そう痒症:4.7%(25/532例)
- 筋痙縮:10.7%(57/532例)
- 食欲減退:9.4%(50/532例)
- 肺塞栓症:3.9%(21/532例)
- 深部静脈血栓症:7.9%(42/532例)
※外国第Ⅲ相臨床試験(MM-020試験)デキサメタゾン併用投与での成績
妊娠
レブラミドは妊娠中の内服を避けなければいけない薬剤です。
レブラミドは、胎児の先天性欠損症を引き起こすと言われている「サリドマイド」の誘導体にあたります。
また、動物での生殖発生毒性試験においても胎児の奇形が認められました。
このことにより、レブラミドは人でも催奇形性を有する可能性があるため、妊婦・妊娠の可能性がある人の内服はしないよう注意喚起がなされています。
男性に対しても、精液中への移行が認められているため内服中・内服終了後の一定期間は徹底した避妊をするよう注意が促されています。
授乳
授乳中のレブラミド内服は、乳児への曝露が否定できないため避けることが望ましいとされています。
レブラミドをやむを得ず内服する場合は、授乳の中止を検討してください。
レブラミドの薬価
2023年2月現在、レブラミドの薬価は以下の通りです。
- 先発品(レブラミド):
5mgカプセル(8,085.3円)
2.5mgカプセル(6,783.9円) - 後発品:未発売
後発品については、2023年2月15日に承認されており、6月に薬価追補収載がなされる予定です。
レブラミドの後発医薬品が登場する日も近いでしょう。
まとめ
- レブラミドは、免疫調節薬(Immunomodulatory Drugs:MiDs)・サリドマイド類似薬に分類される薬です。
- 多発性骨髄腫、5番染色体長腕部欠失を伴う骨髄異形成症候群、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫・濾胞性リンパ腫・辺縁帯リンパ腫に使用されます。
- レブラミド内服中は「RevMate」での管理が必須で、避妊への理解が必要です。
- レブラミドの内服で特に注意すべき副作用は、骨髄抑制・血栓症があげられます。
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カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2023年4月15日
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