急性骨髄性白血病の分類とは?FAB分類とWHO分類

急性骨髄性白血病の分類

急性骨髄性白血病は、白血病細胞が全身に広がってしまう「全身のガン」なので、臓器のガンと異なってステージ(病期)というとらえ方をしません

ですがタイプにより治療方法や予後も異なってくるため、FAB分類とWHO分類という2つのカテゴリー分けの方法があります。

どちらの分類を用いるの?

昔から使われてきたのは、FAB分類になります。

こちらは骨髄像を光学顕微鏡で観察し、その形態的な特徴をベースに分類したもので、様々な染色法での違いも加味して分類した方法になります。

検査コストが安くてどこでも実施することができるというメリットがありますが、同じ形態でも原因や症状も異なるケースもあるため、より治療経過や治療法を反映する分類として考えられたのがWHO分類です。

WHO分類は、白血病などの造血腫瘍には何らかの遺伝子異常が原因としていることを前提に、形態的な特徴に原因となる遺伝子異常を踏まえて分類した方法です。

遺伝子検査が必要となるのでコストがかかってしまうこと、原因不明の遺伝子異常も多く、分類できないケースもあります。

ですが遺伝子レベルでの治療も可能で、より病気の経過を予測することができるので、現在はこちらのWHO分類が用いられることが多くなっています。

急性白血病のFAB分類

M0

『急性最未分化型骨髄芽球性白血病』

  • 造血幹細胞の分化能がほぼ完全に失われている
  • 芽球MPO陽性率は3%未満
  • 細胞表面抗原検査でCD13/CD33が陽性(顆粒球)
  • 成人白血病の5%

M1

『急性未分化型骨髄芽球性白血病』

  • 未熟な骨髄芽球に異常がおこる
  • 芽球が90%以上
  • 芽球MPO陽性率は3%以上

M2

『急性分化型骨髄芽球性白血病』

  • やや成熟傾向のある骨髄芽球に異常がおこる
  • 成熟傾向のある顆粒球系細胞が10%以上存在
  • 芽球MPO陽性率は3%以上
  • 染色体転座でt(8;21)、(q22;q22)を持つものが多い
  • 治療効果が得やすく比較的予後は良好

M3

『急性前骨髄球性白血病』(APL)

  • 骨髄芽球から少し分化が進んだ前骨髄球が増加
  • 血小板の激減による出血傾向(播種性血管内凝固症候群: DIC)を合併しやすい
  • 染色体転座でt(15;17)を持つものが多い
  • レチノイン酸を使った分化誘導療法が有効で、予後は比較的良好

M4

『急性骨髄単球性白血病』

  • 顆粒球・単球2系統の血液細胞ががん化
  • 非特異的エステラーゼ染色で陽性
  • 11q23異常とinv(16)の染色体異常を認められるものあり
  • inv(16)の染色体異常を持つものは、治療効果が得やすく予後が良好

M5

『急性単球性白血病』

  • 単球の幼弱な細胞ががん化
  • MPO染色と非特異的エステラーゼ染色が陽性
  • 単球系が赤芽球系以外の80%以上
  • 11q23(MLL遺伝子)の異常を伴うものがある。

M6

『赤白血病』(Di Guglielmo症候群)

  • 赤血球をつくる造血幹細胞ががん化
  • 骨髄中の赤芽球が50%以上
  • PAS反応陽性の巨赤芽球あり
  • 赤芽球以外の細胞中で骨髄芽球が30%以上

M7

『急性巨核芽球性白血病』

  • 血小板の元になる巨核芽球が異常に増殖
  • CD41・CD61陽性
  • 骨髄線維症を合併しやすい
  • Down症候群に合併しやすい
  • 治療が難しい

急性骨髄性白血病のWHO分類

カテゴリー① 特徴的な遺伝子異常を持つもの

A『t(8;21) (q22;q22)』、または 『RUNX1-RUNX1T1』の異常遺伝子を有するAML

  • 化学療法による効果が得やすく予後が比較的良好
  • FAB分類のM2の約10%に相当

B『t(15;17) (q22;q12)』『PML-RARA』を有する急性前骨髄球性白血病

  • FAB分類のM3に相当
  • 治療法や予後が他の急性白血病と異なる

C『inv(16) (p13.1q22)』『t(16;16) (p13.1;q22)』『CBFB-MYH11』を有するAML

  • 骨髄に異常好酸球が5%以上に増加
  • 化学療法による効果が得やすく予後が比較的良好
  • FAB分類のM4の一部に相当

D『t(9;11) (p22;q23)』『MLLT3-MLL』を有するAML

  • ほとんどがFAB分類のM5の形態をとる。

E『t(6;9) (p23;q34)』DEK-NUP214を有するAML

  • 様々な形態をとるが、共通して予後が不良

F『inv(3) (q21q26.2)』 または『t(3;3) (q21;q26.2)』『RPN1-EVI1』を有するAML

  • 血球の異形成が顕著で予後が不良

G『t(1;22) (p13;q13)』『RBM15-MKL1』を有するAML

  • 急性骨髄性白血病全体の1%以下のまれなタイプ
  • ダウン症をともなわない3歳未満の乳幼児に多い

その他のAML

  • NPM1遺伝子変異』を有する
  • CEBPA遺伝子変異を有する

※染色体異常の記号の味方

T→ 転座(translocation)
異なる2本の染色体の一部がそれぞれ切断され、その断片同士が交換してしまうこと

ⅰnv→逆位(inversion)
同じ染色体の中で2か所が切断され、内側の染色体の断片が逆転してしまうこと
q →染色体の長い部分(長腕)を示す
p →染色体の短い部分(短腕)を示す

カテゴリー② 骨髄異形成関連の変化を持つもの

  • A:骨髄異形成症候群から転化した急性骨髄性白血病
  • B:骨髄異形成症候群に関連した染色体異常のある急性骨髄性白血病
  • C:50%以上の細胞で多血系異形成がみられる急性骨髄性白血病

カテゴリー③ 治療に関連して発生した急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群

  • 化学療法の副作用として引き起こされた急性白血病や骨髄異形成がこのカテゴリーに含まれる
  • カテゴリー④上記以外の急性白血病

カテゴリー④上記以外の急性白血病

特徴的な遺伝子異常が明らかになっていなかったり、治療や骨髄異形成症候群との関連が明確でない分類不能の急性白血病がここに含まれます。それらをFAB分類と同じ観点で細分化しています。

  • A:急性骨髄性白血病最未分化型(FAB分類のM0に相当)
  • B:急性骨髄性白血病未分化型(FAB分類のM1に相当)
  • C:急性骨髄性白血病分化型(FAB分類のM2に相当)
  • D:急性骨髄単球性白血病(FAB分類のM4に相当)
  • E:急性単球性白血病および急性単芽球性白血病(FAB分類のM5に相当)
  • F:急性赤白血病(FAB分類のM6に相当)
  • G:急性巨核芽球性白血病の遺伝子異常以外(FAB分類のM7に相当)
  • H:急性好塩基球性白血病
  • I:骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症

カテゴリー⑤ 顆粒球肉腫

  • 骨髄芽球が髄外に腫瘤を形成する病気です。

カテゴリー⑥ ダウン症候群に関連した骨髄増殖症

ダウン症を持つ小児は健康児に比べて白血病を発症しやすい傾向があり、特徴的な遺伝子変異を持つことが多いことから、独立したカテゴリーに分類されています。

  • A:一過性異常骨髄症
  • B:ダウン症候群関連骨髄性白血病

カテゴリー⑦ 芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年9月22日

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