片頭痛の症状・診断・治療

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片頭痛とは?

片頭痛の症状について、内科専門医がまとめたイラストです。

片頭痛とは、片側に脈拍を打つかのような、ズキズキとした痛みが数時間から数日続きます

片側のみではなく、両側や後頭部に痛みが走ることもあり、必ずしも片側とは限りません。

このように、人により症状に違いがあることも片頭痛の特徴です。

ホルモンバランスが影響することから、20代~40代の女性に多く、日本人の10人に1人は片頭痛に悩まされていると言われています。

とくにCTやMRIをとっても画像での病変はなく原因がはっきりせず、緊張型頭痛や群発頭痛とあわせて一次性頭痛の代表格になります。

三叉神経の炎症が原因ではないかと考えられていましたが、片頭痛の起こるメカニズムは現在もしっかり解明はされていません。

頭痛の予兆と前兆

頭痛は約20~30%の人が、症状の出る60分ほど前に「前兆」を感じると言われています。

下記のような症状が出たら、頭痛の前兆かもしれません。

片頭痛に多い頭痛の前兆

頭痛の前兆のうち、閃輝暗点(せんきあんてん)という症状は、片頭痛に多く見られる前兆です。

閃輝暗点とは、まぶしい光が見えることで、視野が狭くなったり、ものが見えづらくなる状態のことをいいます。

この症状が20~30分続くと、片頭痛の可能性が高いです。

その他にも視野の欠損や視界がかすむといった視覚的な前兆が、前兆として頭痛の前に起こることがあります。

片頭痛の原因

まずは、片頭痛の原因となる事柄をまとめます。

  • ストレスや疲労などの精神的要因
  • 気圧の変化や気温などの外的要因
  • 生理や何らかの病気による病的要因
  • アルコールなどの食べ物や飲み物

さらに詳しく解説していきましょう。

精神的要因とセロトニン

片頭痛の約60%の人がストレスを感じたときに頭痛が生じ、約25%の人はストレスから解放されたときに頭痛が起きると言われています。

仕事や学校生活でストレスを抱え、寝不足と疲労が重なっている人は注意が必要です。

外的要因

「光」「音」「匂い」「味」などの刺激ごとに、どれくらいの方が片頭痛を引き起こす要因となったことがあるかをまとめたデータをご紹介します。

片頭痛の要因となった刺激を具体的にまとめたデータをご紹介します。

頭痛が起こったときは、人工的な光の強いデパートや大きな音のする映画館など、上記のような刺激がありそうな場所に行くのを控えてみましょう。

内的要因

ここでは片頭痛との関連が深い4つの病気などについて、下記にまとめます。

①生理

片頭痛で一番多いとされる原因は生理です。

片頭痛に悩む女性の大半は、生理の2日前ぐらいから生理後の3日の間に片頭痛が起こると言われています。

急激なホルモンバランスの変化と生理によるストレスが大きな要因です。

また経口避妊薬(ピル)は発作を悪化させることが多いので、服用にあたっては注意が必要となります。

②高血圧

高血圧は脳の血管圧を上げ、脳を刺激することで片頭痛が起こりやすくなります。

③副鼻腔炎

鼻が詰まり、呼吸が浅くなることで自律神経に乱れが生じ、片頭痛を引き起こす人もいます。

④腰痛や頚椎症

痛みに対するストレスや血流が悪くなり、片頭痛を引き起こしやすくなります。

腰や首だけでなく、肩こりの激しい人も注意が必要です。

片頭痛で注意すべき食べ物

片頭痛は食べ物が原因で引き起こされることもあります。原因となる食べ物は以下の通りです。

片頭痛の大敵【アルコール】

二日酔いには頭痛が伴うのと同じで、片頭痛の大きな要因となるのがアルコールです。

中でも赤ワインは、血管を拡張させる作用のあるポリフェノールと、血圧が上がる要因となるチラミン、かゆみや痛みに関与するヒスタミンが含まれています

片頭痛に悩んでいたら赤ワインは避けた方がよいでしょう。

さまざまな食べ物に含まれるチラミン

血圧を上昇させる物質チラミンは、アルコールに続き、片頭痛では注意したい食べ物です。

実例として、イギリスでは片頭痛の約20%の人が、チラミンを含む食品であるチョコレートを食べたときに発症したとの報告もありました。

片頭痛の診断

片頭痛といっても細かく分類すると10種類以上あり、明確な区別ができないことも多いです。

他の合併症がないのか確認しなければならないこともあるので、片頭痛の診断は意外と難しく、患者さんからの問診が重要になります。

医学的な異常が見つからない頭痛の代表的なものは、以下の3種類です。

  • 片頭痛
  • 緊張性頭痛
  • 群発頭痛

激しい痛みを伴う頭痛に関しては、緊急性の高い病気も疑わなくてはなりません。

  • 脳出血
  • 脳腫瘍
  • 髄膜炎
  • くも膜下出血

例えばこのような病気があげられますが、頭痛以外の症状などが認められていれば総合的に緊急性を判断していきます。

くも膜下出血などでは激しい頭痛のみの場合もあり、いつもと違うと感じたら医療機関を受診してください。

片頭痛の診断基準

片頭痛の特徴は頭痛が何度も繰り返すということです。

前兆がないときは約5回、前兆がない場合は約2回、頭痛の症状が出ます。

では、痛み方の特徴を見ていきましょう。

  • 頭の片側に起こる痛み
  • ドクドクと脈打つような痛み
  • 中~重度の痛み
  • 日常的な動作で痛みが増す

また、頭痛の痛みで日常的な動作を避けることもあります。

また、発作中に以下のような随伴症状が認められることが多いです。

  • 悪心・嘔吐
  • 光や音、臭い過敏

これらの基準を確認しながら問診して診断しますが、改善が見られなかったりなどした場合は、詳しい検査をしていくことも必要です。

片頭痛の診断は患者さんの問診が重要なので、受診する際は積極的に症状を伝えてみるとよいでしょう

片頭痛の治療と市販薬の乱用による影響

片頭痛の治療は主に痛み止めなどの薬物治療が中心となりますが、片頭痛は日常生活に支障をきたすほどの痛みがでることも多く、忙しさのあまり診察を受けず、市販薬に頼ってしまう人も少なくありません。

この市販薬を間違った使い方をしてしまうと、薬物乱用頭痛となり、さらに頭痛が慢性化する可能性があるので、注意しましょう。

薬物乱用頭痛で慢性化しないためにすべきこと

ドラッグストアにはNSAIDsと呼ばれるさまざまな痛み止めが販売されており、有名なものとしては<「ロキソニンS」「バファリン」「EVE」などがありますね。

ですが、これらの市販薬を乱用してしまうと頭痛が慢性化し、かえって辛い症状を長引かせてしまいます。

慢性化しないためにも「痛くなりそうで不安だから飲む」「薬の効き目がないから追加で飲む」などの乱用には気をつけましょう。

片頭痛が慢性化していると思ったら確認すべきこと

片頭痛と診断されたけど、前よりも酷くなっている気がすると感じたら、薬物乱用頭痛である可能性がありますので、以下の事柄を確認してみてください。

  • 月に15日以上、慢性的な頭痛がある
  • 1カ月に10~15日以上、痛み止めを使用している(同じ種類あるいは別の痛み止めを数種類使い分けている)
  • 薬を多用していても痛みが悪化している

片頭痛の治療

片頭痛の治療にあたっては、頭痛発作の頻度も重要になってきます。

  • 低頻度→発作時の頓服
  • 高頻度→予防薬+発作時の頓服

となりますが、目安としては慢性的に週2~3回発作となるようでは予防薬も使っていきます。

発作時の治療

発作時の薬としては、トリプタン系と呼ばれるセロトニン受容体作動薬が第一選択になります。

  • スマトリプタン(商品名:イミグラン)
  • ゾルミトリプタン(商品名:ゾーミッグ)
  • ナラトリプタン(商品名:アマージ)
  • エレトリプタン(商品名:レルパックス)
  • リザトリプタン(商品名:マクサルト)

できるだけ頭痛の予兆が認められたら早めに使っていく方が、鎮痛効果が期待できます。

その他にも、いわゆるロキソニンなどの鎮痛薬、効果が見られない場合はエルゴタミンなどが使われることがあります。

また最近では、ジタン系と呼ばれるセロトニン1F受容体作動薬が発売されました。

  • ラスミジタン(商品名:レイボー)

トリプタン系と似ていますが、痛みが出始めても効果が期待できる点がトリプタン系との大きな違いになります。

予防薬

片頭痛の予防薬としては、様々なお薬がつかわれています。

その中でもエビデンスが高いのが、以下の2つです。

  • バルプロ酸(商品名:デパケン)
  • アミトリプチリン(商品名:トリプタノール)

デパケンは抗てんかん薬や気分安定薬として使われるお薬で、トリプタノールは三環系抗うつ薬になります。

それ以外にも、ミグシス/テラナス(カルシウム拮抗薬)やインデラル(βブロッカー)などが使われます。

鎮痛効果が知られている抗うつ剤のサインバルタが使われることもあります。

片頭痛の新薬

最近では、片頭痛にも多くの新薬が発売されています。

モノクローナル抗体と呼ばれる製剤で、非常に高価なお薬にはなりますが、頭痛で苦しむ方にとっては大きな生活の改善につながることがあります。

  • ガルカネズマブ(商品名:エムガルディ)
  • フレマネズマブ(商品名:アジョビ)
  • エレヌマブ(商品名:アイモビーグ)

エムガルディとアジョビは、片頭痛の原因物質と呼ばれているカルシトニン遺伝子関連ペプチドを無力化してくれるお薬になります。

一方でアイモビーグは、この原因物質が作用する受容体をブロックしてしまうお薬です。

いずれも1日通して効果が持続するため、片頭痛の予防効果が期待できます。

また片頭痛の発作薬であるトリプタン系は、この物質を神経から放出されるのを止めるお薬になりますが、完全に止めきることはできず、タイミングがずれると効果が弱まってしまいます。

【片頭痛についてさらに詳しく知りたい方へ】

片頭痛について(元住吉院HP)

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カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年11月9日

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